音楽を聴きながら勉強はできない?勉強時のBGMの効果と選曲のコツ

勉強中にBGMを聴くか聴かないか、というのは大きく意見が分かれる話題ですよね。

やはり、BGMを聴きながらの勉強ではやったことが身につきにくいかもしれない、と躊躇する人も多いのではないでしょうか。しかし勉強内容などに合わせてBGMを聴くべきか聴かないべきか、またはどのようなBGMを聴けばよいのかが分かっていれば、その効果を十分に得ることができます。
以下で詳しく見ていきましょう。

BGMを聴きながら勉強することのメリット

気が散る原因となる周囲の環境音を消すことができる

勉強しているときに周囲で音がしていると、気になって集中力が保ちにくいですよね。家族の生活音や、カフェにいれば店員さんや周りの人の話し声、自習室では隣の机の人の鉛筆の音など。試験の時にBGMを聴くことはできないため、ちょっとした雑音の中で集中することに慣れておくことはある程度必要ですが、普段の勉強に支障が出るくらいの環境音はなるべく消したいものです。少し周囲の音が気になるなと感じる場合には、BGMを聴くことで無駄に気が散ってしまうことなく勉強に集中しやすくなります。

勉強することに対するハードルが下がる

勉強を少しの苦もなく始められる人というのはそう多くはありません。しかしBGM(音楽)を聴くこととなると、それが楽しいと感じる人であれば他人に指示されずともむしろ積極的に自分から始めます。そこで勉強中にBGMを聴くようにすると、BGMが聴けるから勉強してもいいかなと考えることができ、勉強を始めるハードルを下げることができるのです。

勉強の退屈感を紛らわすことができる

勉強は頭を使うものの同じ姿勢での単純作業の繰り返しであることが多く、さらに長時間やらなければならない場合も多いです。すると退屈感ゆえに途中で飽きてしまったり、集中力が切れて気が散りやすくなったりといったことが起こりやすくなってしまいます。そこで勉強中にBGMを聴いて適度な刺激を得るようにすると、このような退屈感を紛らわすことができるのです。

BGMを聴きながら勉強すべき人の特徴

静かな環境が苦手な人

BGMを聴きながら勉強するメリットとして周囲の環境音を消して集中しやすくなることを挙げましたが、実は逆に静かな環境が苦手な人にとってもおすすめできるのです。私たちは普段の生活では常に何かしらの環境音を聞いていることが多いため、図書館などのとても静かな環境にいると逆に落ち着かないという人がいるのも不思議ではありません。

後に詳しく説明しますがこのような人は音楽ではなく自然音やカフェの環境音といった、身近な環境音のBGMをぜひ試してみてください。

勉強が始められない、飽きやすい人

BGMを聴きながら勉強するメリットで触れたように、勉強することとBGMを聴くことをセットで考えると、勉強を始めることに対するハードルを下げることができます。そのため勉強が苦手でなかなか手をつけられない人はBGMを聴きながら勉強することで勉強に対する抵抗感を減らしていくことができます。

また、勉強に飽きやすい人もBGMにより適度な刺激を受けることで退屈感が紛れ、より集中しやすくなることが期待できます。

BGMを聴きながら勉強できないタスク

BGMが邪魔だと感じるタスク

ある研究では速さ、正確さの求められる計算問題、深い思考を伴う文章問題をBGMありなしでそれぞれ解かせたところ、BGMの有無と正答率の間に関係がないという結論が出ています。一方では、より深く、早く、正確に考える必要のあるタスクであるほど、BGMが邪魔だと感じる人が多いという結果を得た研究もあります。

つまり作業効率の点から考えるとBGMを聴きながら勉強しないほうがよいタスクというのは一概にはなく、タスクによってBGMを邪魔だと感じるかどうかによって個人で判断するべきだということが分かります。自分にとって、BGMが気になって集中力が削がれていると感じるようなタスクは避けるようにしましょう。

選曲の注意点とおすすめのBGM

文章問題では歌詞のないBGMを選ぶ

ある研究では、音楽と歌詞、音楽のみ、無音のそれぞれの場合で被験者に計算問題と文章問題を解かせたところ、計算問題においては各条件で違いが見られなかったのに対して、文章問題においては「音楽のみ」または「無音」の場合に比べて「音楽と歌詞」の場合の誤答率が顕著に上がることが分かりました。

また、歌詞が日本語の音楽と韓国語の音楽それぞれの場合で文章問題を解かせた実験では、歌詞が日本語であるほうが誤答率が上がるという結果になっています。これらを踏まえると、特に文章問題を解く際にはなるべく歌詞のない音楽を、どうしても歌詞がついている場合には日本語のものは避けるといった工夫が必要ということになります。

計算はBGMのテンポが速いとミスが多くなる

日本認知科学会の論文では、テンポの違う2種類のクラシックを聴きながら計算問題を解かせたところ、テンポの速い曲のほうがミスが多くなるといった結果が示されています。さらに、高揚的なBGMより抑鬱的なBGMを聴いたほうが計算問題に対する否定的な感情が弱まるといった研究結果もあります。計算問題のような正確さと速さを求められる場合は、意外にも落ち着いたBGMが望ましいことに注意しましょう。

おすすめの音楽

これまで見てきたように、勉強中に聴くBGMは人によって、そして勉強内容によって選ぶ必要があることが分かります。

静かな環境が苦手、もしくは程よい環境音の中勉強したい人は海や森の中を思わせるような自然音、カフェの店内や自習室内を再現した環境音のBGMなどがおすすめです。

また、勉強に苦手意識のある人は気分が上がるような、自分の好きな曲やEDMなどのダンスミュージックを聴いたりすると、クラシック音楽もやる気をアップさせることができるためおすすめです。その際に文章問題を解くなら歌詞のないもの、計算問題を解くならテンポのゆっくりなものを選ぶことに注意しましょう。

いちいちBGMを選ぶのが面倒と感じる人は、自然音や環境音のBGMをはじめクラシックや、邦楽でもメロディだけのものを選ぶのが無難ですね。

いかがでしたか。勉強中にBGMを聴くことでたくさんの効果が得られることがお分かりいただけたと思います。選曲の注意点を踏まえたうえで、これを機に自分に合った勉強時のBGMの活用方法をぜひ考えてみてください。