日本史の暗記で最も苦戦する時代のひとつが、明治から昭和にかけての近現代史です。
中でも内閣は、入れ替わりが激しいため、必然的に暗記量が増えてしまう分野と言えます。
この記事では、歴代内閣総理大臣の効率的な覚え方を5つ紹介します。
内閣はテストや試験で頻出の分野なので、ここで確実に覚えておきましょう!
歴代内閣総理大臣の覚え方に使える5つの方法
内閣総理大臣の覚え方① 国内外の出来事と合わせて覚える
試験の問題は、どの内閣の時で何が起こったかを集中的に問われる傾向があります。
そのため、「〇〇内閣は~~のときに××をした」のように、 時代背景と実績を合わせて暗記する必要があります。
近現代は戦前・戦時中・戦後にあたるため、国内外で波乱が多く起きた時代です。
他国との戦争や国内での事件が多発しているので、それぞれを比較しながら流れに沿って覚えていくことが大切です。
他国との戦争で言えば、
- 日清戦争
- 日露戦争
- 第一次世界大戦
- 日中戦争
- 第二次世界大戦(太平洋戦争)
などが挙げられます。
国内の事件では、
- 第一次護憲運動
- 第二次護憲運動
- 五・一五事件
- 二・二六事件
など政治的な対立による暴動が多く見られました。
それぞれの出来事がどの内閣の時代に起き、政府はどのような行動をとったのか(勝利または敗北して○○条約を結んだ、~~が暗殺された、など)を紐づけて覚えましょう。
「日清戦争と日露戦争」「第一次、第二次世界大戦」など ペアで比較して、共通点や相違点を覚えるのがおすすめです。
第二次世界大戦に日本が敗北してからは、アメリカの力を借りて復興したのち、さまざまな国と条約や宣言を結ぶことになります。
ソ連、韓国、中国と国交正常化した内閣はそれぞれ異なるので、こちらも要注意の暗記事項となります。
このように「戦争」「事件」「条約」など カテゴリーごとに関連事項をまとめて覚えるのが暗記の近道です。ある事柄を覚えた時に、似た事柄をセットで思い出せるような癖をつけておきましょう。
内閣総理大臣の覚え方② 内閣の退陣理由を確認する
内閣が退陣する際には、何かしらの理由あることが多いです。
先述のように、さまざまな事件や暴動が起きていたこの時代では、騒動や暗殺、戦争での敗北などを理由にして退陣する総理が少なくありません。
そのため、 各内閣の退陣理由を知っておくことで、歴史の流れと内閣の流れをセットで覚えることができます。
たとえば、大正元年から大正2年まで内閣総理大臣であった 桂太郎は、 第一次護憲運動によって退陣を迫られました。
第一次護憲運動とは、政府に対して大日本帝国憲法や政党を尊重することを要求した運動のことです。
桂太郎は内大臣兼侍従長として宮中に関わっていたため、宮中と政治は分けなければならないという批判が起こりました。
尾崎行雄と犬養毅らの第一次護憲運動によって、桂太郎が退陣したことは 「大正政変」と呼ばれています。
他にも、大正5年から7年まで政権を担当した 寺内正毅は、 米騒動に対する責任を追及されて解散しています。
米騒動とは、ロシア革命がおこったロシアへ干渉戦争を仕掛けるための シベリア出兵に先立ち、米の投機的買占めが横行したことに対して米の安売りを求めて民衆と警察隊が衝突した騒動です。
このふたつの例のように、辞職が「大正政変」「米騒動」などの重要語と深いかかわりがあります。
それをヒントにして「第一次護憲運動」「ロシア革命」などを関連させて覚えることで時代の流れを掴むことができるようになります。
内閣の辞職や就任のタイミングに何が起こったのかに注目して教科書を読み直してみましょう。
内閣総理大臣の覚え方③ 短命に終わった内閣を覚えない
内閣の入れ替わりが多いため、 覚えるべき内閣を取捨選択することも戦略のひとつです。
特に、 「隈板内閣」や「桂園時代」など総理大臣の名前を取った名称が使われているものは特に重要です。
しかし、 短命に終わった高橋是清内閣や阿部信行内閣、米内光政内閣はあまり注目されません。
教科書で一定量扱われている内閣については最低限の知識を得ていておきたいところです。
ただ、あまり印象がなくて覚えづらい内閣もあると思います。
そんなときは、内閣の特徴をイメージとして捉えていくとよいでしょう。たとえば、
「挙国一致」を掲げた 寺内正毅、
「平民宰相」と呼ばれた 原敬、
「所得倍増」を目指した 池田勇人
など、内閣にはその時代に沿った特徴やモットーがあります。初めは外交や戦争に対して「強硬派」か「穏健派」か、能力的に「実力派」か否かなど漠然としたイメージを持ちましょう。すると、内閣の特徴を掴みやすく、知識の吸収もしやすくなります。
内閣総理大臣の覚え方④ ひとつの事柄の変化を追う
各内閣の特徴を掴むことができたら、 ある一つの事柄に注目して時間軸で見ていく方法で理解が深まります。
たとえば、 「軍部大臣現役武官制」が挙げられます。これは1900年に 山県有朋が定めたこの制度です。
その後、第一次護憲運動を経て成立した 山本権兵衛内閣の下で制度の見直しにより、 軍部大臣現役武官制の廃止が行われました。
しかし、日中戦争が勃発する直前の 廣田弘毅内閣で陸軍の強い要求によって 軍部大臣現役武官制が復活しています。
なぜそんなことが起きたのかについてはここでは詳しく説明しませんが、「軍部大臣現役武官制」という制度の意味や時代の風潮を踏まえて考えていく必要があります。
事実や文字列の単なる暗記に留まらず、背景や言葉の意味も理解していると、理屈で覚えやすいでしょう。
言葉だけでは理解するのが難しく、 時代によって変遷があるもの(例えば「金本位制」など)に注目して、一連の流れを理屈で覚えることにも挑戦してみましょう。
内閣総理大臣の覚え方⑤ 語呂合わせで覚える
最後に、各内閣の総理大臣の頭文字をとった語呂合わせをご紹介します。これは大変有名なものなのでどこかで聞く機会があるかもしれません。
覚えやすいリズムなので暗記の補助として覚えておくとよいでしょう。
最後に、各内閣の総理大臣の頭文字をとった語呂合わせをご紹介します。
これは大変有名なものなのでどこかで聞く機会があるかもしれません。覚えやすいリズムなので暗記の補助として覚えておくと良いでしょう。
参考
長崎新聞│〈いくやまいまい……き〉
日本史事典.com│【第一次護憲運動とは】簡単にわかりやすく解説!!背景や原因・経過・影響など
日本史事典.com│【軍部大臣現役武官制とは】わかりやすく解説!!なぜ作られた?廃止&復活!