「色で集中力が変わる」と聞いて驚きませんか?
勉強において、ライトや壁紙、ペンなど、色を取り入れられる要素はたくさんあります。今回は勉強に青色を取り入れる方法と、なぜ青色がおすすめなのかを研究をもとに詳しく解説します。
今日からぜひ、ご自身の勉強に青色を入れてみてください!
方法①:ライトは青みがかった昼光色にする
勉強に集中する色で大事なもののひとつは、照明(ライト)です。
ライトのタイプは以下の4種類に分けられます。
- 温かみのある 「電球色」
- やや黄みがかった 「白色」
- 太陽の明るさに似た自然な 「昼白色」
- やや青みがかった 「昼光色」
1-1.昼光色は集中力がアップする
勉強に集中したい場合は、 ライトは昼光色を選ぶのがおすすめです。青みがかった光には、脳を覚醒させ集中力を高める効果があるといわれています。
実際の研究では、 昼光色の下で勉強をすると、集中力が持続する割合が他のライトよりも高いという結果が出ています。
1-2.電球色の白熱灯は要注意
逆に気を付けてほしいライトは、電球色です。リビングでよく使われているオレンジの温かみのある 電球色は、リラックス効果が高いので勉強に集中したいときには適していません。
さらに電球色のなかでも、 白熱灯というタイプの電球は要注意。昔のこたつに多く使われていた電球ですが、熱をもつので頭が温まると頭がぼーっとしやすくなります。集中するためには「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」を意識しましょう。
1-3.スポットライト効果で集中力を上げる
自宅リビングなど簡単にライトが変えられない場合は、机まわりを照らすデスクライトを使ってみてください。部屋を暗めにして照らすと、手元に集中することができます。
これは、 スポットライト効果といい、 研究でも温かみのある部屋のライトの中で手元だけ青白い昼光色のライトを照らすと、集中力が高まったというデータもあります。
方法② 壁紙の色を青にする
勉強するときにおすすめなのは 青い壁紙です。壁紙は、周りのインテリアのなかで大きく面積を占めているものなので、意識していなくても視界に必ず入ってきます。意外と集中力に影響されるものなので意識してみてくださいね。
2-1.青は集中力を向上させる
青は「集中」を向上させて、ストレスを抑制する作用があることがわかっています。
2014年に長岡技術科学大学で行われた実験では、青・赤・透明の眼鏡を着用した状態で計算問題を解いてもらい「集中・いらだち感」などを回答しました。その結果、青の眼鏡をかけたとき「集中」の値が高いという結果が出ました。
また同実験では、青の眼鏡のときにコルチゾールと呼ばれる ストレスホルモンが抑制されたこともわかったのです。ストレスなくリラックスした集中状態が勉強には良いとされているので、青色の壁紙を視野に入れてみましょう。
2-2.青は体感時間が短くなる
青は、体感時間まで短くなるといわれています。青による心拍数の低下などの作用によって、時間が短く感じられたと考えられているからです。
ある実験では、赤い部屋と青い部屋でそれぞれ2時間会議した実験で、出席者にどのくらいの時間に感じたか尋ねました。その結果、赤い部屋では2時間54分、青い部屋では1時間10分という結果になりました。
「たくさん勉強したな」と時計を見ると、まだそんなに時間が経っていなかった。そう感じることができると、さらに勉強がはかどります。
2-3.集中に適した壁紙の色は明るい青~暗い青
青とおおまかにいっても派手な青や暗い青など様々あります。 おすすめな壁紙は明るい青~暗い青です。派手すぎると壁紙の方に注意が向きやすくなり、勉強に集中できません。
壁紙の色は派手な青を避け、明るい青やくすみのある青、暗い青など、あなたが落ち着く色を選んでみてください。
2-4.赤は興奮作用があるので注意
反対に集中力が削がれてしまう色は赤です。 赤には興奮作用のアドレナリンを分泌する作用があるといわれています。心拍数が上がることで、短時間のやる気に寄与する面もありますが、時間感覚が1.5倍に長く感じるという結果も出ています。
「時間をかけて勉強したな」と錯覚して、実はそんなに時間が経っていないのに満足してしまうことも。 長時間集中して勉強したい人は、赤が目立つ場所を選ばないようにすることを意識してみてくださいね。
方法③ 青いペンを使う
照明も壁紙もなかなか変えられない…という方は、普段使いするペンの色を変えてみるのはいかがですか。
早稲田塾創業者の相川秀希氏が考案した、 「青ペン集中法」という ひたすら青ペンでノートに書き続けるという勉強法があります。
シンプルな勉強法ですが「青ペンで効率的に暗記できる」と次々に拡散され、今では難関校受験生やビジネスマン、司法試験受験者など幅広い層に広がっています。
3-1.青いペンには鎮静作用と集中作用がある
相川氏はインタビューで「青という色には鎮静効果があり、心をリラックスさせることで集中に導く力がある」と、青の集中と鎮静効果について言及しています。
さまざまな研究でもあるように、青の効果は一般的に実証されてきているのかもしれませんね。
3-2.赤いペンは成績を下げてしまう
反対に勉強のときに使ってはいけないペンの色は赤です。赤をみるとなんと成績が下がると言われています。
米ロチェスター大学のアンドリュー・エリオット氏とダニエラ・ニエスタ氏によると、子どもに問題用紙を解いてもらう実験で、参加者番号が赤で書かれていた場合は、数字が緑や黒で書かれていた場合よりも成績が下がったといっています。
赤をみると人は無意識に危険を感じ、回避する作用があるようです。勉強するときは極力赤いものは避けた方がよさそうですね。
方法④ デスク回りの小物を青色にする
デスク回りの小物に青を取り入れてみるのがおすすめです。整理されたデスクに青い小物があるだけで色が視界に入るので、 青の集中力の作用を自然と得ることができます。
具体的には、 青いペンやノート、筆箱などを取り入れてみましょう。さらに、自宅だとコーヒーカップやクッション、カーテン、鏡などが 視界に入れやすいものがおすすめです。カフェなどの外出先だと、ハンカチやPCマウスの色なども活用できそうですね。
方法⑤ 勉強の休憩時にはアースカラーを使う
他にもリラックス効果があり、集中力を高めてくれる色があります。それは、 植物や大地からなどの自然物からなるアースカラーとよばれる色です。
ある実験では、集中力が必要な作業のあいだの 休憩時間に自然に触れると、その後の成績がアップすることが明らかになっています。
ミシガン大学のマーク・パーマン博士は、学生に集中力が必要な問題を解いてもらい、休憩時間に一方のグループは自然豊かな公園に、もう一方のグループは騒がしい市街地で休憩してもらいました。
その結果、後の課題では公園で休憩したグループの方が好成績だったとの結果が出ました。自然を見ることで集中力が向上するだけでなく、ストレスも軽減するようです。
また、この研究では、 自然の写真を見るだけでも効果があるそう。休憩時間は自然のなかで散歩する、または写真を見るなどして、アースカラーに触れるようにしてみてください。
まとめ:集中力は色でつくれる!
色の効果を使うことで、集中しやすい環境を簡単につくることができます。青は集中力を高める効果やストレスを抑制しリラックスさせる効果があります。
反対に勉強するときには避けた方がいい色は赤。赤を見るだけでストレスを感じさせ、成績が落ちるというデータまであります。
そして緑や茶色、水色などのアースカラーは、ストレスを軽減させる効果があるので、休憩時間に見るのがおすすめ。ライトや壁紙、小物などに青を意識するようにして、リラックスするときは自然の色を取り入れる方法です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
参考文献
リビング学習の適正な環境に関する研究−照明による環境設定の試み−
DaiGo(2016),『図解 自分を操る超集中力』,かんき出版
J-STAGE|床暖房が学習能率に与える影響に関する研究
イルミラボ|デスクライトで集中力をアップさせるには?
J-STAGE|青色のストレス反応抑制効果~唾液コルチゾールによる検証~
小川雅明(2009),『人の心は「色」で動く』,エーアイ出版
かべいろ.com|第4回 壁紙で作る効率の良い空間
東洋経済ONLINE|頭がいい人は、なぜ「青ペン」を使うのか?
PRESIDENT Online|絶対忘れない「青ペン書きなぐり」勉強法
NewSphere│「赤い服を来て注目されよう」色が私たちに与える心理学的な影響
ログミーBiz|赤ペンを使うと成績が下がる 実験でわかった驚きの新事実
ブラッド・スタルバーグ(2017),『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』,ダイヤモンド社