ギリギリにならないと行動できないを改善!先延ばし癖の心理と対策

試験勉強や宿題、レポートなど、締め切りが決まっているのにギリギリにならないと行動できないことってありますよね。どうしてもやる気が出なくて困っている方もいるかもしれません。

本記事では、ギリギリにならないと始められない人のために科学的観点から対処法を紹介していきます!

人はなぜギリギリにならないと行動できないのか

追い込まれないと行動できない原因は心理学的観点から説明できます。ここでは3点を取り上げて紹介します。

1.「自己効力感」「自己充実的達成動機」が低い

「自己効力感」とは、自分が必要なことをうまく遂行できると認知していること、すなわち「自信」を意味します。一方「自己充実的達成動機」は、高い目標を掲げてその目標を達成しようとする動機のことで、「モチベーション」と言い換えられます。

名古屋学院大学の谷口氏の実験で、自信とモチベーションが低い人は高い人と比べて、課題の先延ばしが多いことが明らかになりました。

自分に自信がなく「勉強をやらされている」という消極的な態度で臨んでいる人ほど、課題やテスト勉強などやる気が起きにくくなっているのではないでしょうか。

2.「セルフハンディキャッピング」が働く

セルフハンディキャッピングとは、自分が高い評価を受けられるかどうか自信がない場合に、課題を妨げるハンディキャップを自作する行為のことです。試験前になると部屋の掃除をしたくなる、という気持ちを多くの人が体験したことがあるのではないでしょうか?

勉強のストレスから逃れるために正当な理由をつけて、勉強しない状況を作ろうとするのです。

3.未来の自分を過大評価をしてしまう

ある実験で、人は未来の自分を過剰に信じてしまうということが明らかになりました。

その実験は、不味い液体を学生に飲ませるというものです。一部の学生らに「数分後に飲む」ように、他の学生らには「次の学期に飲む」ように依頼し、それぞれどれくらいの量を飲めそうかアンケートしました。すると、次の学期に飲むように伝えられた学生は、数分後に飲むように依頼された学生の2倍以上は飲むことができると答えたのです。

これを踏まえると、課題やテスト勉強を先延ばしにしても「未来の自分は今よりも実力を発揮できるはずだから大丈夫だ」と安心してしまうということになります。結果的に今やるべきことを先延ばしして、ギリギリにならないと行動できなくなってしまうのです。

ギリギリにならないとできない自分を変えるアクションプラン

1.とりあえずやってみる

やる気を出すための単なる精神論ではなく、これは脳科学的にも明らかになっている知識に基づいた手法なのです。

「やる気」を引き出すには、ドーパミンというホルモンの働きが重要です。ドーパミンは脳の側坐核という場所が刺激されることによって分泌されます。側坐核は「行動する」ことでしか刺激されないと言われています。これが「まずは机に向かいなさい」「手を動かしなさい」と言われる理由なのです。ドーパミンは一度刺激されるとどんどん分泌されるので、一度始めることができたらすぐに集中できることでしょう。

2.頭部に意識を集中させる

「とりあえずやってみる」とはいえ、ハードルが高いと感じる人もいるはずです。そこで、ある脳研究者が提唱するのは「頭の上にミカンを置く」ことです。目を閉じて頭の上に球体を乗せて、ゆっくり手を離して目を開ける…そうすることで、分散した意識を強制的に集中させることができると言います。

頭部に意識を集中させることを習慣化させると、スムーズに勉強に取り掛かることができるようになるそうです。この一連の行為を「やる気スイッチ」を入れたいときのルーティーンにしてみると良いでしょう。

3.好きな音楽を聴く

音楽を聴くと気分が高揚しますが、実はドーパミンが分泌されているとわかっています。音楽はランナーズハイのような興奮状態を引き起こすと言われています。

先述のようにドーパミンは「やる気ホルモン」と呼ばれており、幸福感や意欲を向上させます。もし、どうしてもやる気が出ないとなったら、BGMとして好きな音楽をかけてみるのもいいかもしれません。

ただ、BGMは集中力を下げてしまうのではないかという懸念を持たれる方もいるでしょう。

確かに、ある研究ではBGMを付けた状態でテストを受けると点数が低くなるという実験結果が残されています。その実験では①テンポの速い曲、②テンポの遅い曲、③環境音のBGM、④完全な無音、という4つの状況下で認知テストを行ったところ④の完全な無音状態が最も高い成績をとりました。①~③は④に比べて有意的にパフォーマンスが落ちました。

一方で、別の研究では速さや正確さの求められる計算問題、深い思考を伴う文章問題をBGMありなしでそれぞれ解かせたところ、BGMの有無と正答率の間に関係がないという結論も出ています

そのため、ドーパミンを分泌させるためにBGMを聴くことは人によっては必ずしも集中力の邪魔にはなるとは言えず、一定の効果が出る可能性が大いにあります。

勉強中にBGMをかけることについては、下記に
選曲方法や注意点について書かれているので、是非ご覧ください。

勉強中にBGMは流すべき?効果がある場合とない場合の違いについて解説!

4.仲間を意識する

ある研究で「ある仕事をする際に『チームの一員』だと思えるとやる気が向上する」という結果が出ています。

2つのグループの全員が各自別室で課題に取り組む実験で、
1つのグループには他のメンバーも同じ問題を『共に』解くのだと伝えて、
もう1つのグループには他のメンバーも同じ問題を解くとだけ伝えました。
すると、『共に』課題に取り組んだグループのほうが、難しい問題にも粘り強く挑み、高い集中力を発揮したのです。

仲間との精神的なつながりがあると感じられるだけで、やる気が大きく左右されるということがこの研究から分かりました。

もし試験勉強や課題でつまずいても、「友達のあの人は今も勉強しているだろう」と思えば「もう少しやってみよう」とやる気が出るのではないでしょうか。時には電話をしたり一緒に勉強したりしてもいいかもしれませんね。

まとめ

ギリギリにならないと行動できない理由と対処法を、心理的・脳科学的観点から紹介してきました。音楽や友達の力を借りて一度集中してみることで、勉強が長続きするかもしれません。やるべきことは早めに終わらせて、ストレスフリーな生活を目指してみましょう。

参考文献

谷口 篤+ほか(2013)│先延ばし行動と達成動機,自己効力感,及び性差の関係
スタディサプリ│テスト前に掃除がしたくなるのはなぜ!? 理由と対処法を心理学の先生に聞いた
Christopher Olivola+et al.(2008)│Doing Unto Future Selves As You Would Do Unto Others: Psychological Distance and Decision Making
STUDY HACKER│なぜ人はすぐ誘惑に負けるのか? 2つの根本原因を「脳科学」と「心理学」から解説
ほぼ日刊イトイ新聞│自分で積極的に動いたときの反応は10倍。
新R25│シゴトに効く「カラダハック」 「簡単にやる気を出す方法を教えてください!」→脳研究者「やる気なんて存在しない」
医療財団法人 平成医会 │ドーパミンを増やすことで得られるメリット
ハーバービジネスオンライン│仕事中にBGMを流す人は無能!英大学の研究で判明
life hacker│「チームの一員」と思えると、やる気が格段に向上する:研究結果