「試験に合格したいなら、早起きして勉強しろ!」
と言われたことはないでしょうか。
この言葉の裏には「朝に勉強すると頭に入りやすい」という考えがあり、大学受験が間近になると授業開始より1時間早く登校させ、強制的に自習させる学校もあるそうです。
しかし、中にはどうしても朝が苦手という人もいますよね。
タイマーをいくつもセットして無理やり目覚め、今にも二度寝しそうな頭で勉強に臨んだところで集中できるとは思えません。
そこで今回は、朝ではなく夜に勉強すること(=夜活)のメリットや、その効果を最大限に高めるためのコツについてご紹介します。
夜活で勉強するメリット
一般的には朝活が良いと言われていますが、そもそも朝に勉強した方が効率がよいとされている根拠には、次のようなことが挙げられます。
- 学校や会社に行かなければならず、時間に追われて集中できる
- 睡眠で脳がリフレッシュされた状態のため、記憶力が上がる
- 脳科学者の茂木健一郎氏も、朝は1日の中で最も脳が働く時間(=ゴールデンタイム)だと語っている
その一方で、夜に勉強した方が捗るという主張にも、きちんと根拠があります。
東京大学薬学部の池谷裕二教授によれば、夜にも勉強のゴールデンタイムは存在します。
具体的には、眠りにつく1、2時間に勉強した内容はすぐさま睡眠中に整理されるため、ただ闇雲に情報を溜めこむよりも良質な形で脳に記憶させられるそうです。
実際に、語学について勉強した直後にテストを受けた場合よりも、勉強後に睡眠をとってからテストを受けた方が点数が高いという実験結果があります。
また、朝活が登校・出社時間に追われているのと同様に、夜活もまた就寝時間に追われていると言えます。
特に平日は起床時間を遅らせることができませんから、夜活が長引けばその分だけ睡眠時間が短くなり、自分で自分の首を閉めることになります。
だからこそ夜活の時間を少しでも長く確保しようと、日中の課題や仕事を迅速に完了させるモチベーションにも繋がるでしょう。他にも、
- 昼間は家族の声や周囲の雑音が気になる一方、夜は静かで集中できる
- 「起きる」という動作を挟まずに勉強を開始できるため、朝活より習慣化しやすい
このようなメリットも挙げられます。
本番の試験が朝から始まるのであれば、当日に眠気で頭がボーッとしないように、早いうちから朝型の生活に体を慣らしておくことは大事です。
しかし、そうした「どうしても朝型にならないといけない」理由もないのに、勉強には朝活が向いているという一般論に流されてしまうと、余計な苦労を背負いこむことになる可能性もあります。
大切なのは、自分自身の体質を知ることです。
朝活・夜活の両方を試してみた上で、より自分に適した方法で勉強するのがおすすめですよ。
夜活で効率的に勉強するコツ
ここまで、朝が苦手な人は無理に朝活をがんばらなくても、夜に勉強する夜活をすればよいという話をしてきました。
しかし、いくら朝より夜の方が得意といっても、うまく集中できなかったり、眠くなったりすることはありますよね。
そこで、ここからは夜活の勉強効率を高めるためのコツをご紹介します。
夜活のコツ① 暗記系を選ぶ
夜活で勉強する科目は、なるべく暗記系を選ぶことをおすすめします。
世界史・日本史や英単語、数学の公式など、知識がないと解けない問題に関しては、1つでも多くの知識を漏らさず覚えておくことが肝要です。
この点、就寝直前に絶対に覚えておきたい暗記系の勉強をしておけば、忘れる前に記憶を整理させることが可能です。
さらに翌朝の登校・出勤中に電車の中で確認テストを行えば、より一層記憶が定着しやすくなるでしょう。
実際に、前述の池谷教授も覚えておかないといけない情報のインプットは就寝前に行うそうです。
夜活のコツ② 軽食を用意する
夜活中は小腹が空いてくるものですが、かといってカップ麺を食べたりジュースを飲んでしまったりすると、血糖値が上昇して眠くなり集中力が低下してしまいます。
深夜に食べるラーメンのおいしさは格別ですが、夜活中は控えてブドウ糖やカフェインなどの集中力アップに役立つ食べ物を選びましょう。
具体的には、すばやくブドウ糖を摂取できるラムネや、眠気覚ましに効果的なコーヒーなどがおすすめです。
また、バナナを始めとした消化がよい果物であれば、眠る前に食べても肥満の原因になりにくいですよ。
夜活のコツ③ BGMをかける
「勉強のやる気が起きない……」そんなときはお気に入りの音楽をかけるのも効果的です。
音楽を聴きながら勉強すると効率が落ちるという話もあります。
しかし、ウロンゴン大学のティモシー・バイロン氏いわく、ゆったりとした曲調のリラックスできる曲で、かつ歌詞のない曲であれば勉強の邪魔になりにくいそうです。
ただでさえ昼間より雑音の少ない静かな夜に、好きな音楽をかければ完全に自分一人の世界を作ることができるため、周囲を気にせず一心不乱に勉強に打ちこめるというのも嬉しいポイント。
加えて、勉強を始める合図を作っておくことは、集中力のスムーズなオンオフにも繋がります。あらかじめ専用のBGMを決めておくのもよいかもしれません。
勉強中にBGMを流す是非については、
勉強中にBGMは流すべき?効果がある場合とない場合の違いについて解説!
こちらの記事で詳しく解説していますので、是非読んでください!
夜活のコツ④ 体を動かす
夜活の際は、簡単なストレッチで体を動かすというのも効果的です。
人間が眠気を感じているときは体内で副交感神経が優位にある状態のため、体をほぐす運動によって逆に交感神経を優位にさせることで眠気覚ましが期待できます。
また、わざわざ全身を動かさなくても、ガムを噛むだけで十分に脳を活性化させることが可能です。
自然科学研究機構の柿木隆介名誉教授によれば、物を噛むという動作は脳の認知・反応速度を向上させる働きがあり、集中力向上などの恩恵を受けられると言います。
まとめ
- 早起きが苦手で朝活が続かなかった
- 昼間は家族の声が気になって勉強に集中できない
- 仕事から帰宅した後の時間を有効活用したい
そんな人には夜活がおすすめです。
「早起きして勉強すると効率がよい」のは確かですが、とはいえ夜の勉強が非効率というわけではありません。
100人いれば100通りの体質や事情がありますから、自分に合った勉強方法を実践することが試験合格への近道であると言えます。
今回ご紹介したコツも参考にしながら、自分が最も無理せず・効率よく勉強できる方法を探してみてはいかがでしょうか。