デジタルデトックスとは
デジタルデトックスとは、スマホ、PC、テレビなどデジタルデバイスの使用を控える取り組みのことです。
現代ではSNSや動画サイト等の平均利用時間が増え、ストレスの増加や時間の浪費への影響が指摘されてます。しかし、SNSや動画サイトの利用はあまりに日常の一部になっており、使用を控えるのが難しいのが実状です。
そこで、意識的に工夫してデジタルデバイスの使用を控えるデジタルデトックスが注目されています。デジタルデトックスには、ソシャゲやSNSなどスマホの利用全般を控えることを意味するスマホデトックス、主にSNSの利用を控えることを意味するSNSデトックスなども含まれます。
本記事ではこれらの概念についても触れつつ解説します。
総務省の調査によると令和2年の高校生のインターネットの平均利用時間は約4.45時間であり、この時間は年々増加傾向にあります。
電子機器の利用時間の増加が、視力低下や勉強時間の減少などにつながるという指摘もあり、このような情勢からデジタルデトックスの必要性が徐々に高まっています。
デジタルデトックスのメリット
メリット①大事なことに使う時間を作れる
皆さんはそのうちやろうと思っていてもできないことはありませんか。手をつけられてない勉強もあるかもしれませんし、買ったまま家に積んである本や、部屋の整理など、できていないことがあるのではないでしょうか。
デジタルデトックスを一日1時間でもすることができれば、先延ばしにしてしまっていることに取り組む時間を作り出すことができますよ。
メリット② 睡眠の質が向上する
デジタルデトックスをすることにより、睡眠の質を向上することができます。ペンステートハーシー医科大学の研究によると、就寝前や深夜にデジタルデバイスを利用することにより睡眠の質と量が低下することが分かっています。
夜遅くまでゲームや動画視聴をしてしまうことで、睡眠時間が十分にとれなくなりますし、画面を見ることで就寝時のメラトニンの生成が阻害され、深い眠りにつけなくなるのだと考えられます。
また、同研究では肥満度指数の上昇も指摘されました。デジタルデトックスには肥満の抑制効果も期待できると言えるでしょう。
メリット③幸福感が向上する
SNSデトックスすることで、社会的比較による幸福感の低下を抑制することができます。ソーシャルメディアの利用は生活の満足感を低下させると言われています。
ペンシルベニア大学の研究によると、SNSの使用を制限することでうつ傾向が優位に減少することが分かっています。これは社会的比較が原因ではないかと考えられます。
InstagramやTwitterなどを利用すると友人や有名人の楽しそうな生活の様子や、何かを成し遂げた報告などの情報が入ってきます。
それを見ていると自分はあの人に比べれば何もできておらず、自分の人生はなんてつまらないのだろうという気持ちになってしまうのです。
デジタルデトックスをすることで人と比較することなく、生活の中のささやかな幸せを見つけることができるようになります。
デジタルデトックスの具体的なやり方
やり方① 電子機器を使用しない時間を決める
電子機器を使用しないタイミングを決めるというのは、例えば就寝前や起床後、食事をしているとき、恋人や友人と過ごすとき、趣味に取り組んでいるとき、など使用しない場面を決めて電子機器の使用を制限する方法です。手軽に始められて、かつ効果も高い方法です。
おすすめは、就寝1時間以内(難しければ30分以内)にはデジタルデバイスを利用しないことです。
これは電子機器を使用する時間を減らせるだけでなく、入眠スピードと睡眠の質が高まる一石二鳥の方法です。
勉強メディア的には、その空いた1時間で暗記モノを行うとより効率的に勉強できる、ということもお伝えしておきます。
やり方② 禁欲ボックスを使用する
少しお金はかかりますが、最近ではデジタルデトックス用の商品も販売されています。
タイムロッキングコンテナという物で、箱の中にスマートフォンを入れると設定した時間内は箱を開けられず、中に入れた物を強制的に使えなくなります。小さいサイズでもスマホやコントローラーを入れる事ができますし、大きいサイズを購入すればタブレットや任天堂スイッチ本体などを入れることができます。
指定した時間までは箱を壊さない限り絶対に開けられない仕様になっており、Amazon.comのレビューでは「もう2回も壊したぜ(3度目の購入だ)」などと言う人もいるくらい強制力は強いです。
ただロック中電話が来たら焦りますし、アラームが鳴ると止められないので、スマホを入れる場合はマナーにしたり電源を切ったりしたほうがいいかもしれません。
やり方③ スマホを机の上に置かない
電子機器を机の上に置かないようにするだけでも効果が期待できます。
卓上のスマホにLINE等の通知が入る度に反応していては集中できるわけありませんが、たとえ通知をオフにしていたとしても集中が疎外されることが分かってます。テキサス大学の研究では、机の上にサイレントモードにしたスマホを置くだけでも認知機能の低下が見られることが分かりました。
この研究ではスマホをポケットに入れた場合、バックに入れた場合、隣の部屋に置いた場合と比較しているのですが、隣の部屋に置いた場合(最も遠く離れた場所に置いた場合)が最もテストの成績が高かったといいます。
また、電源のオンオフや、スマホの上向き下向きは成績と関係がなかったとのことです。
ここから、机の上からスマホなりゲームなりデトックスしたい物を周りに置かないだけでも効果が期待でき、隣の部屋に置くとより効果が高いと言えるでしょう。
やり方④ スマホデトックス用アプリを活用する
これはスマホデトックス限定の話になりますが、利用時間を制限するアプリがいくつかあるのでご紹介します。
人気のあるForest(iPhone/Android)というアプリでは、このアプリを開いている間に木が育つというゲーム感覚でスマホデトックスができます。
アプリを閉じて別なアプリを開こうとすると、せっかく育てた木が枯れてしまうので、木を枯らさないためにも他のアプリを開くのを控えようという気持ちになれます。
また、Androidユーザーにはより強制力の強いDetoxというアプリもおすすめです。こちらを用いることで指定した時間はスマホが操作できなくなります。
課金が必要な場合もありますが制限中でも一部のアプリのみ利用する設定ができるので、Kindle等勉強に必要なアプリの使用は可能です。残念ながらiPhoneで同様の機能を持つアプリは見つけられませんでした。
おそらく規制が厳しいので作成・配布が難しいものと考えられます。
やり方⑤ SNSデトックスを行う
最後に、SNS断ちに特化した方法をご紹介します。
おすすめなのはアプリを削除してしまう方法です(LINE等一部アプリを除く)。
InstagramやTwitter等多くのSNSでは、ブラウザからもアクセスできるようになってますが、アプリと違って開くのに少し手間がかかります。たった少しの手間ですが、これが使用する回数の減少に繋がります。
もっと手間を増やしたければシークレットモードで操作し、操作後にブラウザを閉じるようにしましょう。これにより確認する度に毎回ログインが必要になり、より手間を増やすことができます。
SNSに熱中してしまう人は試してみてはいかがでしょうか。
参考文献
内閣府(2021)『令和2年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)』
Sara Thomée et al.(2011)「Mobile phone use and stress, sleep disturbances, and symptoms of depression among young adults – a prospective cohort study」
Caitlyn Fuller et al.(2017)「Bedtime Use of Technology and Associated Sleep Problems in Children」
Melissa G. Hunt, Rachel Marx et al.(2018)「No More FOMO: Limiting Social Media Decreases Loneliness and Depression」