中学生や高校生のみなさんにとって、化学反応式を覚えることは学校の定期テストや受験勉強で必要になりますが、なかなか覚えるのが大変だと思います。
化学に苦手意識がある人だと、化学反応式の理解ができずに単なる暗記にとどまってしまい、効率の悪い暗記になってしまいがちです。
それゆえ、さらに化学が嫌いになってしまうという負のスパイラルに入ってしまうかもしれません。
実際、筆者が受験勉強をしていたときは、 半分以上の化学反応式はその場で導いてました。本番ではその方法で反応式を作り、 暗記量を大幅に減らしていました。
今回この記事では化学反応式がより楽しく簡単に暗記できて、学校の定期テストなどで反応式がすぐに思い出せるようなコツや方法についてまとめて見ました。
化学の基本を理解する
まず化学反応式を理解するためには最初に化学の基本的な事項について理解している必要があります。覚えておく必要があるのは次の通りです。
化学の基本①元素記号を覚える
元素記号を覚えておくのは科学反応式を理解する上で必要不可欠です。高校化学までだと化学反応式に出てくる元素は限られており、典型元素とZn、Cu、Feなどの代表的な遷移元素数個です。
なのでまだ 元素記号があやふやだという人はいますぐにでも覚えてしまいましょう。 元素記号がでればすぐに元素の名前が思い浮かぶレベルまでしっかり暗記することで後の勉強がしやすくなります。
化学の基本②それぞれの元素の特徴を理解する
元素には個々に特徴があります。
例えば 希ガスの元素はイオンになりにくいとか、 オキソ酸が弱酸である元素と強酸になる元素は、それぞれ何かなど、元素のイオン化傾向など 化学の基礎的な知識を持っていると、どうしてこの化学反応になるのかの理解が容易になります。
例えば上に書いたように弱酸、弱塩基性になる物質と強酸、強塩基性になる物質を知っておくと、化学反応における「弱酸の塩+強酸→強酸の塩+弱酸」「弱塩基の塩+強塩基→弱塩基+強塩基の塩」といった 原則を使って、自分で化学反応式を導くことができ、暗記をする必要がなくなります。
このように元素の特徴を理解すると効率的な勉強ができます。化学が嫌いな人にとってはここは教科書などを読んで学習する必要があるので少し大変かもしれませんが頑張りましょう。
化学式の表記方法を理解する
高校で多少化学を勉強している方なら知っているかもしれませんが、化学式といってもなかには分子式、組成式、電子式、構造式といった種類のものが存在します。
それぞれの化学式には 表記方法のルールがありますのでそれを知っていないと試験で減点されることがあります。
多くの化学反応式を書かせる問題は分子式や構造式で物質を書かせることが多いですが、一部には 電子式で化学反応式をかけという問題も出題されます。
この化学式の表記方法はルールなので単純な暗記になってしまいますが、暗記量としてはそれほど多いものではないのでサクッと暗記してしまいましょう。
表記方法の理解①導ける反応式は作り方を理解して、暗記する
大学受験の化学反応式を書けとして出題される反応のうちの多くが自分で導いて作る反応式です。自分で導ける化学反応式の種類は次の通りです。
中和反応
中和反応とは酸と塩基を混ぜたときの物質の反応ですが、これはできるものが塩(酸の陽イオンと塩基の陰イオンの化合物)と水と決まっていますので、例えば水酸化ナトリウムと塩酸であれば
- NaOH(水酸化ナトリウム)+HCl(塩酸)→NaCl(塩化ナトリウム)+H2O(水)
といったようになります。
これは自分で導ける反応式のなかでも単純ですので得点源にできるといいですね。
弱酸遊離反応、弱塩基遊離反応
これは先でも述べましたが、弱酸の塩と強酸を反応させると強酸が弱酸の代わりに塩となって、その結果弱酸が発生します。
あるいは同様に弱塩基の塩と強塩基を反応させると強塩基が弱塩基の代わりに塩となって、その結果弱塩基が発生するという現象が起こります。
例えば弱酸の塩であるNaCO3と強酸H2SO4を反応させると、
- Na2CO3+H2SO4→Na2SO4+H2CO3
というように反応が進行します。
この反応式が作れるようになるには、 どの物質が弱塩基、強塩基、弱酸、強酸なのかを知っておく必要があります。ですので先ほど説明したように、基本的な化学の知識は必要になってきます。
酸化還元反応式
酸化還元反応の化学反応式はすべてを暗記しようとすると膨大な時間がかかります。
しかし、酸化還元反応に使う 半反応式という化学反応式の材料となるものを20個ほど暗記しておけば様々な物質のペアでの反応式を導くことができます。
この反応式の作り方は一番難易度が高く、比較的覚えることが多くなっています。ですが、 この反応式は定期テストや大学入試で頻出になっています。
そのため、それらの試験でいい点を取りたいと思っている人は絶対に導出方法をマスターしておきたいものです。
表記方法の理解②作れない反応式は覚えやすいように工夫して覚える
今まで導出できる化学反応式について説明してきましたが、一方で暗記するしかない化学反応式もあります。その一部として特別な名前のついた化学反応や有機化学の反応式があります。
特別な反応
一例として オストワルト法、 アンモニアソーダ法、 接触法など、反応自体はかんたんですが化学反応の触媒を覚えなければいけない反応があります。
例えば、ハーバーボッシュ法(四酸化三鉄を触媒とする)や、過酸化水素から酸素と水を得る反応(酸化マンガンを触媒とする)は暗記する必要があります。
有機化学
有機化学で出てくるそれぞれの物質の生成方法も自分で作ることは難しいです。また、覚えるべき反応も量があるため暗記は少し大変になるでしょう。
まとめ
このように化学反応式は暗記するしかないものもありますが、自分で導出してうまく暗記量を少なくできることも多くあります。
また、暗記量を少なくするためには化学のことについて理解をしておく必要がありますが、その知識は化学反応式以外の問題を解くときにも非常に役立つものです。
こうした化学反応式の効率のよい勉強法がたくさん掲載してある参考書として有名なものが「大学受験Doシリーズ 福間の無機化学の講義」があります。
教科書だけではなくてこのような参考書を使って勉強を勧めてみるのもいいのではないでしょうか。