「世界史の通史は好きだけど文化史は覚えづらい……」
「文化史は出題数少ないからそんなにやらなくていいよね?」
そう思っている人も多いのではないでしょうか?
学校の世界史の授業でも、文化史はあまり扱ってくれない先生もいるかと思います。
ですが、文化史を勉強しないことは実はとてももったいないことなんです。
たしかに通史に比べると出題される割合は低いです。
しかし文化史は点を落とす人も多い分、しっかり勉強すれば他の人と点数の差をつけやすいという大きなメリットがあります。
また、覚え方にもコツがあるのでそこをおさえればぐっと覚えやすくなります。
今回の記事では、文化史が効率的に覚えられる3つのポイントをご紹介していきます。
世界史文化史の覚え方3選
文化史の覚え方①資料集などで情報の肉付けをする
芸術作品を覚えるときは作者名と作品名だけおさえておけばいい。
そう思っている人もいるかもしれません。
しかし、文 化史を覚えるときはある程度情報の肉付けした方がいいです。
たとえば文学ならあらすじを確認、絵画なら絵をチェックします。
その理由は2つ。
- 情報量が少なすぎると印象がなくて覚えづらいから
- 作品の内容や絵画のビジュアルが問われることがあるから
最低限のキーワードだけで覚えようとすると印象がなくて逆に覚えづらいです。
たとえば、
“ソフォクレス『オイディプス王』”
これだけだと覚えづらいですが、
“ソフォクレス『オイディプス王』
オイディプス王がそうとは知らずに父を殺してしまい、母親とも性的関係を持ってしまった悲劇”
ここまで知っていると少し覚えやすくなりませんか?
細かく知る必要はありません。 覚えづらいものだけでもいいので、あらすじを簡単にチェックしましょう。
少し手間に感じるかもしれませんが、内容を知らないと解けない問題も出題されます。特に絵画や彫刻などはビジュアルが問われることが多いです。
そのため 文化史を覚えるときは資料集や辞書などを活用して情報の肉付けをしていきましょう。
- 絵画・彫刻・建築
→必ず資料集でビジュアルを確認 - 思想・哲学
→軽くでいいので内容を確認 - 文学
→簡単にあらすじを確認
文化史の覚え方②通史との関係をおさえる
文化史は丸暗記で覚えるものだと思っている人もいるかもしれません。
しかし、 ただの丸暗記では効率が悪いです。
芸術作品や思想などの文化的な産物は、その地域・その時代の社会情勢から生まれています。
なので、覚えるときはその関係性をおさえていくことがポイントとなります。
単独で覚えるより、通史と関連させて覚えた方が記憶に残りやすいのです。
しかも上位校になるほど通史との絡みにおいて出題される傾向があるので、単に芸術作品を覚えるだけでは入試に対応できません。
文化史を勉強するときは時代背景と照らし合わせ、 その作品が生まれた経緯や社会に与えた影響を「理解」したうえで覚えてきましょう。
《時代背景》
当時のフランスは産業革命の最中で、労働者階級の地位向上を目指した共和主義、社会主義が盛り上がっている時期。クールベ自身も革命的な思想を持った共和主義者で、労働者や農夫を好んで描いた。
文化史の覚え方③文化史の流れをおさえる(ヨーロッパ美術史)
ヨーロッパの美術史には通史のように流れがあることを知っていますか?
ヨーロッパの美術史は覚えることも多いので効率的に勉強することが大事です。
大まかな流れが理解できると記憶に残りやすいので、ここで一度チェックしてみましょう。
- 古代ギリシア (〜紀元前4c)
ヨーロッパ文化の原点にして頂点とされる
理性•調和・写実性(=リアルさ)を重視 - 古代ローマ(紀元前1c〜5c)
ギリシア文化の後継
土木・建築など実用的な文化も発達 - 中世(5c〜15c頃)
キリスト教中心の世界
スコラ哲学や大学の発達
芸術らしい芸術は少ない - ルネサンス(14c〜16c)
古代ギリシア・ローマの文化=古典文化の復興
キリスト中心の世界観からギリシア的な人間中心の世界観へ
理性•調和・写実性(=リアルさ)が再び美の理想とされる - バロック(17c)
均整のとれたルネサンスの美に飽きて豪華絢爛・装飾華美なスタイルに
王侯貴族やカトリック教会が権威をアピールする目的もあった
太陽王ルイ14世の時代 - ロココ(18c)
バロックの重厚な美に対する反動として今度は繊細・優美なスタイルに
バロックが男性的だったらロココは女性的
マリー=アントワネットの時代 - 新古典主義(18c末〜19c前半)
古典的な美から逸脱したバロック・ロココに対し、
再び古代ギリシア・ローマの美へ回帰しようという動き
形式や伝統を重んじ権威主義的になっていく
ナポレオンの時代 - ロマン主義(19c前半)
保守的な新古典主義に対する反動
理性よりも感性・感情・感覚的なものを重視
激情的・情動的な作風 - 写実主義(19c後半)
神話や伝説、歴史的な場面を題材としていたそれまでの美術に対し、
現実社会で実際に目にしたものをありのまま描くように
貧しい農夫や労働者が主題 - 印象派(19c後半)
光の輝きや風の動きまでキャンバスに再現
それまでのどのスタイルとも違った全く新しい画風
近代絵画の出発点と言われる - ポスト印象派(19c後半)
印象派の革新性をさらに推し進めた
目に見えたものを描くという考え方から脱却
精神世界なども表現するように
ヨーロッパの美術史は最初に古代ギリシア・ローマという黄金期があって、その後中世に入ると1000年ほどの長い停滞期に入ります。
(停滞と捉えるのは一面的な見方ですが、わかりやすいのでここではそう言います)
そして ルネサンスで古典文化が復活したあとは、保守的なスタイルに対して革新的なスタイルが生まれるという動きが繰り返されます。
ルネサンス(保守)→バロック(革新)→ロココ(革新)→新古典主義(保守)→ロマン主義(革新)→写実主義(革新)→印象派(大革新)→ポスト印象派(超革新)
特に19cは展開が早いですね。
この時代は保守的な新古典主義が主流ですが、それに対して異を唱える新しいスタイルが次々と生まれました。
このような流れや各スタイルの特徴を意識しながら、実際の絵画や彫刻などをチェックしてみてください。
まとめ
今回の記事では、世界史の文化史の覚え方をご紹介しました。
文化史は意外と奥が深いのでしっかり勉強しようとすると大変に感じるかもしれません。
しかし文化史をマスターすれば同時に通史の理解も深まりますし、ライバルと点数の差も開けます。
少しでも覚えやすい方法で効率的に勉強していきましょう!