この記事にたどり着いた方の中には、本や参考書を読み進めていてもふと気づくと内容が頭に入ってなかったという経験があるのではないでしょうか。
そんなときついつい集中力が足りてないのかと自分を責めてしまうこともあるでしょう。
しかし、思うように集中できない人の割合は結構多いようです。
ビズヒッツ社の調査によると、
81%の人が仕事に集中できないときがあると回答してます(n=500)。
(C)株式会社ビズヒッツ
そこで今回は集中力を高める方法を網羅性重視でまとめました。ぜひご自分にあった方法を見つけていただければ嬉しいです。
1.作業環境編
1-1.良い机、椅子、ライトを使う
まず、集中できないのは道具が悪い可能性があります。
高さの合わない机や、硬い椅子を使っていると長時間集中して勉強するには厳しいです。
お金をかけられない方も、
ニトリなどの座面クッションや、ダイソーのバックレストなど一工夫するだけでかなり作業しやすくなる可能性があります。
お近くの雑貨店にぜひ探しに行ってみてください。
ちなみにお金がかけられる方は、
スタンディングデスクと、エルゴヒューマンプロもしくはデュオレストの組み合わせがおすすめです。
著者はライトはモニターにかけるタイプを使ってますが、本や参考書を読んだり、問題演習するときにはかなり見やすいです。
モニターを使ってない方は山田照明のデスクライトも使いやすいです。
1-2.デスクの上を片付ける
デスクの上を片付けることでペンや資料を探したりする必要がなくなります。
また、
机の上に物が置いてあると無意識に目に入って集中の妨げになると言われてます。
特にスマホは目に入るところに置いてあるとついつい手にとって弄ってしまうことにも繋がります。
集中するために、
机の上は今取り組む課題だけの状態にしましょう。
1-3.室温・湿度を調整する
暑すぎたり寒すぎたりしたら集中できないのは当然ですよね。
快適な学習環境を作るために空調をしっかり効かせましょう。ただ、冷房はすぐに効いてくれますが、暖房ってなかなか効かないですよね。
特にデスクを使っているときには足元が温まらない。
同じような悩みを持つ方におすすめなのは、脚入れヒーターです。
ランニングコストが
1時間あたり0.7円しかかからないのに、かなり暖かくて冬季でもすごく快適に勉強ができます。
これと厚めのジャケットを着ればかなりの暖房代を抑えられるので1シーズンで元が取れると思いますよ。
より快適な環境を求める方は、図書館に行くのもおすすめです。図書館は図書の状態維持のため空調がしっかりとしてます。
また、
他の人が勉強しているところを見るのもモチベーション維持にも繋がります。
1-4.部屋の明るさを調節する
人は明るくなると覚醒し、暗くなると眠くなります。
集中するためには部屋を明るくすることが大事です。
ただし常に明るい照明だけを使っていると、うまく入眠ができなくなってしまいます。
そこで、
集中したいときには昼光色、寝る前には電球色に変えることをおすすめします。
これを実現するために、
調色と調光ができるシーリングライトを使ってみましょう。
1-5.場所を変えてみる
場所を変えることで集中できるようになる可能性があります。
特に寝室と作業部屋は分けることを推奨している人が多くいます。
気持ちが切り替わるのが理由だといいます。また、自習室・図書館・カフェなどに移動して勉強するのがおすすめです。
椅子や机であったり、周囲の明るさ、周りの人の目、BGMなど自分の集中できるポイントが見つかるかもしれません。
1-6.周りに青い色を取り入れる
青い色を取り入れると集中力が上がると言われています。
塾などの自習室では席を仕切るのに青い板を使っているところがありますが、集中力の向上が狙いだと思われます。
最も手軽な方法としては
青色のペンを使って勉強することです。
あたり一面を青にしてみたい方は、デスクマットと色画用紙を用いれば比較的簡単に実現可能だと思います。(こちらの商品いずれも、筆者は使用したことがありませんので品質の保証はできません。)
1-7.周囲の雑音を遮断する
周囲の話し声や騒音がうるさくて集中できていない場合、雑音を遮断することで集中力できるようになる可能性があります。音を遮断するためには、耳栓をするだけで十分です。
耳栓を使えばどんなに騒々しい場所でも静かな環境が実現できます。
ただ、ずっとつけているとムレて耳が痒くなってしまうので、適度に使用をやめて休めましょう。
1-8.BGMを聞く
先ほどの話と逆に、勉強中に音楽を流すことで集中できる可能性があります。
Rong-Hwa Huangらの研究で、
好みのBGMを聞いた人は集中力の向上が見られたと報告されています。
BGMには気分を高めて勉強に着手しやすくする効果もあるので、ぜひ好みの音楽を流してみてください。
1-9.視線を一点に集める
課題に着手する前に、一点を見つめることも集中力を高めるのに有効なようです。
一点を見るという単純な行為から、一つのことに集中するコツを掴むことができます。
シールでも、ペンで書いた点でもいいので一点を1分程度見つめてから勉強してみましょう。
1-10.ツボを押す
集中力を高める代表的なツボは3つあります。1つ目は
合谷(こうごく)というツボで、親指と人差指の骨の交わるところにあります。
手にあるツボで押しやすいので参考書を眺めながら押せます。
2つ目は百会(ひゃくえ)というツボで、頭のてっぺんにあります。
眠気をとる効果もあるので眠くなってしまったときにもおすすめです。
3つ目は攅竹(サンチク)というツボで、眉頭の下にあります。集中を高めるとともに眼精疲労にも効果があると言われています。
ツボを押すときはあまり強く押しすぎず、痛気持ちいい程度で押しましょう。
1-11.アロマを使う
嗅覚刺激は大脳辺縁系にダイレクトに電気信号が届くので、感情への効果が高いと言われており、アロマの集中力への効果も期待できます。
ローズマリーやペパーミントの香りには集中できる効果があるといいます。少し値段は高いですが、ルミネや百貨店に入っているenherbなど専門店に行けばおすすめのアロマオイルを紹介してもらえますよ。
2.食事編
2-1.食事の量を調整する
集中は適度な空腹状態で発揮されると言われています。
集中したいときには食事を控えましょう。食事するときにも満腹になると消化に血液が使われてしまうため、
腹八分に抑えることで集中できない状態を回避できます。
2-2.サプリを補給する
集中力を上げるサプリを摂取するのも一手です。
効果が高いと言われているのは、カフェインとテアニンの組み合わせです。
ノーサンブリア大学の研究によると、この2つを同じタイミングに摂取することで言葉への反応速度が80ミリ秒以上向上したそうです。
また、この2つの組み合わせで疲労感が軽減するともいいます。
巷にはエビデンスが一切ないようなサプリも溢れてるので、きちんと見極めて購入しましょう。
筆者はプラセボでも効果が感じられるのであれば購入する意味はあると思いますが。
2-3.コーヒー・お茶を飲む
コーヒーやお茶を飲むと、カフェインの効果で集中力が上がります。
特に
コーヒーは匂いを嗅ぐだけでも集中力が高まるという研究もあります。
また、冬であればあたたかい飲み物を飲むことで、体があたたまる作用も期待できます。
2-4.ガム・グミを食べる
スポーツ選手がガムを噛んでいたりしますが、その理由の一つは集中するためです。
柿木隆介氏らの研究では、ガムを噛むことで脳の反応速度が高まることが分かりました。
これは
ガムを噛むときの咀嚼により脳が活発に動くようになったと考えられています。
3.体調管理編
3-1.定期的に休憩を取る
どんな人でもずっと集中を継続することは困難です。定期的に休憩を挟むことで、集中力を持続させることが可能になります。
有名なポモドーロテクニックという時間管理法では、25分おきに5分休憩し、それを4回行ったら15から30分ほどの長めの休憩を取る、というのをワンセットとして勉強します。
注意点として
休憩時間にゲームやSNSはしないようにしましょう。勉強に戻れなくなくなる可能性が高いです。
3-2.昼寝(仮眠)を取る
NASAの研究ではコックピットで26分間眠ったパイロットは、昼寝をしなかった人と比べ仕事のパフォーマンスが34%上昇したそうです。
さらに
昼寝は気分がよくなったり、注意力や記憶力が向上するという研究もあります。
スペイン語圏では昼寝(シエスタ)文化がありますが、これは理にかなっていたということです。
ただし、30分以上寝ると深い眠りに入ってしまい、寝起きが悪くなったり寝過ごしたりしてしまうので、
10~20分程度に留めることが大事です。
3-2.夜にしっかりと睡眠をとる
睡眠不足は集中力にダイレクトに影響します。寝不足で集中できないというのはたいていの人が経験したことがあるでしょう。
一時的な睡眠不足は一時的な集中力の欠如につながるだけですが、
慢性的な睡眠不足は脳機能の低下につながります。
シンガポール国立大学ジュン・ロー氏らの研究では、
睡眠時間が1時間短いと、認知機能が1年ごとに0.67%低下するそうです。
集中力を維持したければなるべく日々十分な睡眠時間を確保したいところです。
4.リラックス編
4-1.ストレッチする
休憩時間の使い方としてストレッチがおすすめです。
勉強に集中すればするほど体が固まって腰痛や肩こりの原因になります。
足の筋肉、肩の筋肉、首の筋肉などストレッチしてみましょう。リフレッシュして次の課題に取り組めます。
学生さんの若い体であれば痛みなど感じないかもしれませんが、年齢を重ねるにつれ痛みを感じる人が増えていきます。
そのため若い方も今のうちから対策しておくことをおすすめします。(具体的な方法はYouTubeのほうが分かりやすいので割愛させていただきます。)
4-2.深呼吸する
大きく深く呼吸をすることでより脳に酸素を送ることができ、集中できるようになります。
また、
普段無意識で行っている呼吸を意識して行うことで、交感神経と副交換神経の調整し集中力の調整が可能になるとも言われています。
深呼吸をする際には、換気が不十分な室内で長く過ごしているとCO2濃度が高くなっていたり、ホコリが舞っていたりする可能性あります。
ぜひ換気して室内をきれいな空気で満たしてから深呼吸をしてみてください。
4-3.筋肉を緩めてリラックスする
特にストレスを感じていて集中できないときに有効なのが筋弛緩法です。
筋弛緩法はアメリカの精神科医エドモンド・ジェイコブソンが開発した手法で、筋肉を緊張させて一気に抜くことで意図的にリラックス状態を作り出す手法です。
全身でやってもいいですし、
足→ふくらはぎ→太もも→…といったように部位ごとにやっていくのも有効です。
5.要因解消編
5-1.スマホを遠ざける
勉強しないといけないと思いつつも、
ついついSNSやソシャゲなどに熱中してしまう人におすすめなのはスマホを遠ざけることです。
スマホをリビングに置いておいたり、電源を切っておく程度で利用を十分利用を制限する効果があります。
どうしても自制心だけで制限が難しい方には、禁欲ボックスがおすすめできます。
スマホを入れてロックすると、指定した時間まで取り出せなくなります。
5-2.思い浮かぶ雑念を紙に書き出す
悩みや心配事があって集中できない方におすすめなのは、思い浮かぶ雑念を紙に書き出していくことです。
これはジャーナリングと呼ばれ科学的にも効果が示されているメソッドです。
雑念が発生するのはこれからどうしようとか、失敗した経験を忘れないようにしようとする脳の作用なので、これを
紙に書き出すことで、考えたり思い出す必要がなくなり、雑念が抑えられるのです。
頭から離れない不安や後悔、後でやらないといけないこと、などを形を気にせずに書き留めるだけで十分な効果が期待できます。
6.課題調整編
6-1.今やることを小さなタスクとして定める
やることがたくさんありすぎる場合、モチベーションが低下するのみならず、集中力の低下も発生します。ここで大事になるのが
タスクの細分化です。
目標達成までの膨大な量の勉強を、一日のタスクにまで細分化することで、終わりの見えない目標に向けてだらだら勉強することを防ぐことができます。
例えば目標に2ヶ月で英単語1000語暗記を設定したのであれば、(6周する想定で)1日100語学習しよう、という具合です。
6-2.やることを減らす
ときにタスクが多すぎる場合には、思い切ってやめてしまうのも一手です。
試験までにすべて勉強しきれないことが予めわかっている場合は、優先順位をつけて優先度の高いものから着手しましょう。
そんなことしていいのか不安になる方もいるかもしれませんが、結局問題集の後ろのほうに着手できないまま試験に望むよりは、よほど効率よく勉強できます。
6-3.制限時間を決めて取り組む
タスクごとに制限時間を決めて取り組むことで集中力が向上します。
特に試験勉強をしている人は、実際の試験の時間に合わせて問題を解いておくと、試験のときにも余裕を持って望めます。
「この課題は〇分でやる/〇時までに終わらせる」などギリギリ終わるか終わらないかくらいの
目標を設定して取り組むことで集中して課題に着手することができます。
6-4.インプットをやめて問題演習する
参考書を読んでインプットするのは難しいと感じる人は多いのではないでしょうか。
資格試験などに短期間で合格している人の話を聞くと、圧倒的多数が問題集や過去問でひたすら問題演習をしています。
記憶の定着のためには、学んだことを「思い出す」ことが必要になり、参考書では特に意識しなければ「思い出す」必要がないからだと思われます。
問題を解くためには強制的に集中することが必要になるので、参考書を集中して読めないという方には思い切って問題演習から入ることをおすすめします。
7.集中力を高める習慣編
7-1.有酸素運動
運動は短期的にも集中力の向上に繋がります。
スウェーデンのヨンショーピング大学の研究では
2~60分の有酸素運動をするだけで集中力や記憶力の向上が見られたそうです。
たった2分の運動でもこの効果は最大2時間も継続したそうです。
また、定期的に有酸素運動をすると脳のサイズが大きくなり、記憶力が向上するという研究もあり、長期的にみても学力向上に寄与します。
7-2.瞑想(マインドフルネス)
瞑想というと修行僧がやっているイメージがあるかもしれませんが、研究によりその効果の高さが示され、最近ではGoogleなどでも積極的に取り入れられてます。
カリフォルニア大学の研究では
8分間の瞑想をした人は、統制群と比較してその後の作業ミスが半分程度に減ったそうです。
また、瞑想を長期的に行うと前帯状皮質が活性化して欲求を抑えることができるようになったり、海馬の神経細胞が増加して記憶力が高まったりと、瞑想も学力向上にはかなり効果的な方法と言えるでしょう。
参考文献
Huang Rong-Hwa et al.(2011)「Effects of background music on concentration of workers」
Crystal F. Haskell et al.(2008)「The effects of L-theanine, caffeine and their combination on cognition and mood」
Michael Mrazek et al.(2012)「Mindfulness and Mind-Wandering: Finding Convergence Through Opposing Constructs」
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